バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態である甲状腺機能亢進症を起す病気で、男女の比率で男性1人に対して女性5~6人程度で特に女性に多い病気です。

バセドウ病には個々の症状に応じた専門性の高い治療が必要です。

現在のわが国では200~400人に1人がバセドウ病に苦しんでいると言われております。

バセドウ病は、甲状腺機能に異常を来す病気で、適切な管理を行っていれば日常生活に何ら制約を受けずに(女性は妊娠、出産も含め)過ごすことが出来るそうです。

しかし甲状腺ホルモンの管理が不十分な状態が長期に及ぶと不整脈や、心不全、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などで生涯にわたり苦しめられると言われております。

その治療の大原則は、甲状腺機能を正常にたもつことで、

  1. 坑甲状線薬(薬の内服治療)、
  2. 放射線治療(アイソトープ治療)、
  3. 甲状腺切除(手術)、

と3つの治療法があります。

坑甲状線薬による治療は薬の内服のみと簡便で、我が国のほとんどの方が第一に選択しますが、開始直後に副作用が出やすく、頻回の採血と副薬量の調整が必要となってきます。

この治療を受けた方のおよそ3分の1は2~3年で服用を中止出来ますが、中止後も再発の可能性があります。さらに3分の1の方は長期間、時には生涯にわたり服用が必要で、服薬中も病状が悪化することがあります。

残りの3分の1の方は、薬では十分な甲状腺機能の管理が出来ません。また、妊娠を希望する方や妊娠中、産後授乳中の方は時期による服用できる薬が異なる上、病状も刻一刻と変化し、甲状腺機能の管理目標が異なるため、専門的な知識を持った医師が治療に当たることが重要です。

一方、アイソトープ治療(放射線治療)や、手術は甲状腺を破壊もしくは手術により摘出し、甲状腺ホルモンを自身で作れない状態にした上で適切な量の甲状腺ホルモン剤を服用することになりますが、受診回数の減少や、甲状腺の縮小による美容面の改善効果、妊娠中の管理のしやすさ、出産後に悪化するリスクの回避等の利点があります。

抗甲状腺薬が副作用で使用できない方、抗甲状腺薬で抗甲状腺機能の管理が困難な方(特に甲状腺が大きい方)、長期間抗甲状腺薬を中止出来ない方、中止後に再発した方などがこれらの治療の対象にとなります。

このようにバセドウ病の治療はそれぞれの特徴があり、一人ひとりに最適な治療法が異なるため、病気の特性や、治療に熟知した医師が提供する必要があります。お困りの方はぜひ専門医に相談して下さい。